- 養育費って何?
- どうしたらもらえるの?
- 漏れなくもらいたいけど、どうしたらいい?
こんな疑問をお持ちのあなたへ。
,これから離婚をする人や、もう既に離婚していて養育費をもらってるけど適正価格なのかわからない方は、これを機会にしっかりと見直しをしましょう。
シングルマザーの養育費の相場とは

- 養育費とは
- 相場:法律で決められている
- 算定表:これを元に算出される
①養育費とは
養育費とは、離婚後に子どもと同居しない親(非監護親)が、子どもと同居する親(監護親)に対して支払う、子どもを育てるための費用です。養育費には、子どもの生活費や学費などが含まれます。
離婚した後も、親の子どもに対する扶養義務は存続します(民法第877条第1項)。
しかし、非同居親は子どもと一緒に生活しないので、日常生活の中で直接子どものための費用を支払う機会は少ないですよね。
そこで非同居親は、同居親に対して養育費を支払うことで、子どもに対する扶養義務を果たすことになります。
②相場
厚生労働省による令和3年度(2021年)の統計「全国ひとり親世帯等調査結果」によると、養育費を現在も受けている、または受けたことがあるひとり親家庭の養育費平均月額は母子世帯が50,485円、父子世帯では26,992円でした。
養育費の支払い義務については法律に定められていますが、その具体的な金額についてはとくに定めはありません。もし夫が合意していれば、どれだけ高くても問題ないということです。しかし実際には、裁判所が発表している「養育費算定表」に基づき機械的に決定されることが多いようです。
③算定表
算定表とは、親権を持たない方の親が未成年の子どもの養育や教育のために支払う養育費の金額を、調停や離婚裁判の場で決めるときに目安となるもの。
子どもの人数や年齢によって該当する算定表が変わってくるので、以下の算定表からあなたに該当するものをご覧ください。
養育費はどうやってもらう?

- 夫婦間協議:離婚後の養育費についてまずは元夫婦間で話し合いの場を持ち、養育費の金額について協議を行う
- 調停:協議で決められない場合は養育費請求調停を申し立てる
- 強制執行:養育費の支払が滞ったときは履行勧告や強制執行もできる
①夫婦間協議
まずは二人でよく話し合うところから始めましょう。協議が合意に至った場合は公正証書を作成しておくことをお勧めします。
公正証書とは、公証役場で公証人が作成する契約書類のことです。当事者に加え、第三者である公証人が契約の締結に立ち会うため、契約書の効力を公的に証明できます。
- 契約の合意に至った当事者の意思
- 書面の内容
などを公証人が保証することで、書面の証拠能力を高めることができるのです。
また、当事者とは別に公証人が「契約内容」や「契約意思」を確認するため「無理やり署名させられた」「偽造された書類だ」といった言い訳が通じなくなります。合わせて公正証書に強制執行認諾約款(「不履行の際は強制執行されても構わない」という旨の特約)をつけておけば、裁判を省略して給与や資産の差し押さえが可能です。
このように、公正証書の作成は、養育費の不払いを防止する高い効果を期待できます。
相手がお金にルーズな場合など、養育費の滞納が予想される場合は、離婚の条件をまとめた離婚協議書を公正証書にしておくと良いでしょう。
②調停
養育費調停とは、夫婦間で養育費を決められないときに家庭裁判所で調停委員が立ち会いのもと養育費について話し合い、夫婦間で合意を目指すものです。調停委員は夫婦双方から事情を聴き、提出された資料を参考にしながら公平な解決策を提案します。養育費調停で話し合う内容はおおむね下記の通りです。
- そもそも養育費を支払うか、支払わないか
- 支払う場合、いくら支払うか
- いつまで支払うか(子どもが〇歳まで、など)
- どのような方法で支払うか(一括、分割など)
夫婦間での話し合いの場合、「いくら支払うか」は決まっても「いつまで」「どのような方法で」といった具体的なところまでは話し合いができておらず、離婚後にトラブルになることがあります。
また、養育費の金額を決める際は「養育費算定表」を参考にすることが多いですが、折り合いがつかず養育費が決まらないというケースも珍しくありません。養育費調停なら夫婦間で納得のいく解決方法ができる上、こうしたトラブルを未然に防げるといったメリットもあります。
③強制執行
ここまでやっても、万が一養育費の支払いが滞った時には『強制執行』という手段があります。本来は離婚時に協議や調停を行い、きちんと養育費に関しても合意を得たはずなのに、督促を重ねても支払われないケースは後を絶ちません。
督促を行っても養育費が一向に支払われない場合には強制執行を検討してみましょう。養育費の強制執行とは、離婚時の協議・調停・審判において公正証書や審判書によって定めた養育費が支払われなかった場合に「支払う義務のある人の財産を差し押さえて、強制的に支払いをしてもらうこと」を言います。強制執行は地方裁判所へ申立てをします。
相手が自営業の場合の注意点

- 特に注意したい経費の中身
- 提示された年収に納得できない場合
①特に注意したい経費の中身
自営業者の配偶者と離婚する場合、子どもの養育費を計算するに当たっては、給与所得者とは異なる注意点が存在します。配偶者の所得を漏れなく把握し、かつ適切な計算方法を用いて、不利にならないように養育費を取り決めましょう。
勤務先が支払い給与を管理し、源泉徴収を行う給与所得者とは異なり、自営業者は自ら売り上げなどを把握・計算して確定申告を行います。
そのため、事業とは関係のない飲食や物品購入費を経費と計上しているようなケースもあるでしょう。経費が多くなれば、本来よりも所得は低いと判断されてしまいます。
このような行為は、帳簿やお金の出入りを詳しく調べなければ、実態を明らかにすることは容易ではありません。
②提示された年収に納得できない場合
配偶者が自営業所の場合、帳簿や預貯金口座の入出金履歴などをすべて提出させ、徹底的に調べることも検討する必要があります。また、婚姻期間中の生活費などを参考にして、配偶者の実質的な年収が提示されたものよりも高いことを主張する方法も考えられます。
実態ベースでの養育費の支払いに配偶者が応じない場合には、弁護士のサポートを得たうえで離婚調停・養育費請求調停を活用することをおすすめします。適切な証拠を提出しつつ、審判への移行も辞さない姿勢で粘り強く交渉すれば、適正額の養育費支払いで合意できる可能性は高まるでしょう。
おわりに

いかがでしたでしょうか?
実は私もかれこれ5年ほど養育費を受け取る立場にいます。別れた前夫とお金のことを話し合うのは、正直気持ちの良いものではありません。
厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によれば,母子世帯の離婚した父親からの養育費の受給状況は,「現在も受けている」が28.1%となっています。 つまり,母子世帯で見ると,4人の母親のうち1人しか,子の父親から養育費を支払ってもらっていないことになります。
いくら別れたとはいえ、監督権のあるなしにかかわらず親であることは変わりません。当たり前の権利を当たり前に主張できる世の中であるためにも、子どもに気持ちよく育ってもらうためにも、諦めず怖がらず、主張をしていきましょう。
おわり