- 養育費を夫婦間協議で決めたい
- 養育費を渋られたらどうしよう
- 最後くらい落ち着いて話し合いたい
私は離婚を決めた時にそう思っていました。ただ離婚するだけでも疲れるのに、養育費で争って2倍も3倍も疲弊するのは嫌ですよね。
これからお話しするのは、実際に2018年からこれまで1ヶ月も取りこぼすことなく養育費を受け取っている私が教える、『元旦那に気持ちよく養育費を払ってもらう』極意です。
結論:
元旦那に気持ちよく養育費を払ってもらう方法とはズバリ…
『あなたのお父さんは素晴らしい人なのよ』と子どもに教えながら育てたい!
という想いがあることを元旦那に伝える
です。
「え?!そんなの無理、嫌。」
と思われたかもしれませんが(笑)、あなたの希望通りの養育費をもらうために、とても役立つ要素なのは間違いありません。ぜひ最後まで読み、養育費協議に役立てていただければと思います。
シングルマザーが養育費をもらえない現状

本題の方法論に入る前に、知っていただきたい日本の養育費問題をお伝えします。これを読む事によって、協議で養育費をもらい続けることの難しさを理解できます。
もし早く本題に入りたい場合は、『02|元旦那が気持ちよく養育費を払う唯一の方法』からどうぞ。
- 日本の現状
- 支払いたくない男:少しでも負担を減らしたい
- 支払わせたい女:「子どものために」が口癖
日本の現状
厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によれば、母子世帯の離婚した父親からの養育費の受給状況は「現在も受けている」が28.1%となっています。つまり母子世帯で見ると、4人の母親のうち1人しか、子の父親から養育費を支払ってもらっていないことになります。
また、ひとり親世帯になってからの年数が短い方が、「現在も受けている」と回答した世帯の割合が高い傾向となっています。つまり,最初の方は養育費を支払っていた親も次第に支払わなくなってくる、という傾向があるのが分かります。
「協議離婚」をした母子世帯の母親で、現在でも養育費を受け取っていると回答している割合は26.1%しかないのに対し、調停等の離婚の場合、養育費を現在も受け取っていると答えている割合は49.1%あります。つまり、調停等で離婚した場合の方が「協議離婚」で離婚した場合と比べると、養育費を受け取っている人の割合が約2倍になります。
そうすると、「協議離婚」ではなくて、調停等の離婚をした方が養育費を支払ってもらえる可能性があるのが現状です。

しかし今回は、「協議離婚」でお互いに気持ちよく養育費を支払ってもらうために、何ができるのかをお伝えしていきます。
支払いたくない男
「養育費を払わない男ってどんな心理なの?」
女性側の不祥事でない限り、親権は90%以上母親にあります。親権を持って、これから子の養育・教育を一人で担っていく母親からすると、元旦那が養育費を支払わないなんて言語道断ですよね。しかし前章でお伝えした通り、母子家庭の四分の三は、養育費を継続的に受け取れていないのです。
ではなぜ男性は支払いたくないのでしょうか?考えられるものを列挙してみましょう。
- 親権を奪われたという気持ち
- 面会交流できない腹いせ
- 収入が下がったから
- 母親が再婚したことで二重に利益を得ていると考える
- 単純に報復の気持ち、嫌がらせ
- 不公平であるという気持ち
- 子供に不信感がある
まず上記のような気持ちを持たせる言動は、避けた方が良さそうです。
例えば
「親権は法的に母親にあったとしても、あなたが父親という立場を失うわけではない」
「面会交流は決められた通り実施する」
「数年に一度の養育費見直しをし、生活苦が生じないよう相談できる状態を維持する」
などの工夫は必要になってくるかもしれません。
そもそも養育費というのは、損得で考えるものではありません。一緒に暮らせない子どもへの、最後の愛情表現と考えても良いくらい重要であることを、どれだけ実感してもらえるかが鍵です。
支払わせたい女
一方で女性も、『少しでも多く支払わせよう』という気持ちがあるのではないでしょうか。離婚に至った経緯を振り返ると、そこには悲しみから生まれた怒りがあり、その悲しみを穴埋めする手段として、養育費が使われている一面もあるように思います。
また母性が強ければ強いほど、『愛する子供が不自由なく暮らすためのお金をケチるなんて』と、金額の大きさ=愛情の大きさの物差しとして捉えがちです。
しかし忘れてはならないのは、養育費とは子どもの監護や教育をするために必要な費用のことであり、母親の気持ちを穴埋めするものでも、子供への愛情を測る物差しでもない、ということです。
感情的になると、少しでも多く奪い取ってやりたくなるのかもしれません。しかし本来は、元旦那の方から気持ちよく支払ってもらいたい、と考えているのではないでしょうか。
次の章から、元旦那が気持ちよく・能動的に養育費を払いたくなる方法について解説していきます。
元旦那が気持ちよく養育費を払う唯一の方法

- 深刻さを手放す:一度は恋した人、最後くらい笑顔で
- 養育費は子ではなく父の権利:もらえる権利 / 与える権利
- 最高の父親像をつくる
ステップ1:深刻さを手放して最高の妻を演じる
まずは、最後にして最高の妻を演じることをお勧めします。
これを聞いて、気が進まないと思うかもしれません。しかし一度は、愛し愛され恋に落ちた相手でもあります。そんな相手から怒りや損得勘定を剥き出しで交渉されても、男性も気持ちよくはないでしょう。
- 敵意がないこと
- 結果的に離婚を選択しているが、感謝していること
- これからは夫婦ではないが、子育てをする同志として頼りたいこと
など、怒りを取り外したあなたで、改めて素直に伝え、要求できる状態を取り戻しておくことが第一ステップです。
ステップ2:養育費は母子の権利ではなく父の権利である
『養育費=親権者が否親権者へ請求できる権利』と思われがちですが、その考え方だとどうしても損得勘定がお互いに生まれてしまいます。そもそも養育費とは両親が分担するはずのものであり、なすりつけ合うものではありません。
養育費への意識を変えるポイントは、以下の三点です。
- 夫婦関係が法的に終わっても、父親としての立場や権利・責任は継続される
- 養育費を支払うということは、父親としての尊厳を守ることに繋がる
- 養育費を支払って欲しい=元旦那を父親として認めている証拠
つまりあなたが養育費を請求するということは、相手を父親と認めている証拠であり、相手が養育費を支払うということは、父親として子育てに参入する権利を得ることなのです。
この論理でいくと、『養育費は当然に払ってもらうけど、子育てに口出ししないで欲しいし、面会交流もしたくない…』というのは通用しません。しかし『養育費を払うことで、父親としての権利を放棄しないで欲しい』と伝えることが可能になります。
ステップ3:最高の父親像をつくる
ステップ1で最後にして最高の妻を演じ、ステップ2で夫婦としては終わってもあなたを父親として認めているよと伝える。この下地の上で最後は『最高の父親像』を子どもの心に植え付けるために、協力して欲しい旨を伝えましょう。
離婚するには原因があります。もしかするとあなたは相手を恨んでいるかもしれません。
しかしそれは子供には関係のないこと。別れた後、子どもに父親の悪口を言っている母親エピソードをたまに見かけますが、子どもの純粋な心に植え付けられた父親像は、その子どもが結婚した後にまで響く可能性があります。
例えば、「父親というのは悪い存在なんだ」と無意識に植え付けられた場合、男の子であれば父親になることを恐るかもしれません。女の子であれば、結婚まではスムーズでも、出産した途端に旦那さんのことを虐げるようになるかもしれません。
あなたが元旦那さんのことをどう伝えるかで、子どもの結婚観を大きく左右してしまうかもしれないのです。そう考えると、別れたとしても『最高の父親像』を植え付ける努力はすべきではないでしょうか。
『最高の父親像』を植え付けるためにも、元旦那さんの協力は必要不可欠です。
父親の悪口を言って育てるつもりはない。むしろ「お父さんはあなたを愛している」と言って育てたい。直接触れ合うことができない分、他の形で子どもへの愛情を示して欲しい。その一つが養育費であり、「お父さんはあなたのためにこんなことをしてくれているよ」と伝えていきたい。家族の形がどうあれ父親の愛を感じられるよう、子育てのパートナーとして協力して欲しい。
ということを、優しく、でも毅然と伝えてください。
手紙を使うと効果的!伝え方を大公開

- 手紙を使う:話し言葉だけより心に響く
- 伝え方テンプレート
対面で話すか、手紙で伝えるか
離婚を前に、お金の話について冷静に話し合える人は少ないと思います。要らぬ喧嘩をして、時間と労力を費やすのだけは避けたいですよね。
そんな時は直筆の手紙がおすすめです。
あなたの気持ちを文字に起こしてみることで、客観的にどう感じるかを確認することができます。攻撃的な言い方になっていないか、素直に伝えられているか、言いたいことが伝わる文章になっているかなど、チェックできるのでおすすめです。
また、どんな状況にあったとしても、直筆の手紙をもらって気分を害する人はいません。(もちろん内容によりますが)もらった方も何度も読み返すことができ、あなたの気持ちや今後の意図を汲み取りやすくなるはず。
女性は男性に比べて、論理的な会話の構成が苦手と言われています。面と向かって話していると感情的になってしまうことも、手紙であれば何度も書き直すことができますし、場合によっては信頼のおける人に読んで確認してもらうことも可能です。
伝え方に迷ったら、まずは手紙を書いてみましょう。
伝え方テンプレートを教えます
会話にしても文章にしても、端的でありつつ気持ちもしっかり乗せて伝えるのには、少しテクニックが必要です。伝わりやすい文章のテンプレートをお伝えするので、ぜひ活用してください。
- 結論:養育費を分担してもらいたい。できればその内容を公正証書に残したい。
- 理由:一つは子どもを不自由なく育て上げるため。もう一つは『最高の父親像』を子どもの中に作るため。
- 事例:これからは子育てのパートナー + 前述したステップ3の内容。
- 結論:だから養育費を分担して欲しい。
これはPREPの法則と言って、せっかちな現代人に話を最後まで聞いて、しっかり理解してもらう手法の一つです。論理的思考の男性にもぴったりなので、この1〜4の流れにそって手紙を書いてみてください。
おわりに

私は養育費の受け取りが、かれこれ6年目になりました。離婚すると決まった時は気持ちも荒れていましたし、養育費や慰謝料はもらって当然と、なかなかに横柄な態度で話をしていたように思います。
でも話し合いを進めていくうちに、離婚は免れない事実だけど、だからと言って息子に家族の愚痴をこぼしたくない。いろんな家族の形があって、夫婦としては終わってしまったけど、いつどこにいても私たち両親はあなたを愛しているんだと伝えたい。そういう結論に至ったのです。
でももし私が元旦那のことを悪く言っていたら、どんなに「愛してる」と伝えたところで、子どもは100%の気持ちとして受け取れないと思います。
私は正直にいうと元旦那のことが嫌いですが(笑)、息子はお父さんのこともお母さんである私のことも大好きと言ってくれています。それを叶えたのは、夫婦として終わってもなお、子育てのパートナーとして養育費を分担し、協力し合える関係があるからこそ。
いがみ合うのは離婚届を出す瞬間までで終わりにして、新しい家族の形で子どもの尊厳を守っていきましょう。
おわり